2013年5月6日月曜日

告訴に関連する報道

産経新聞が報じた捜査の進捗についての記事です。
「起訴は困難」としつつ、検察審査会もにらんで慎重に捜査するとあります。

なお記事中では東電などになされた複数の告訴・告発をまとめて書いています。
福島原発告訴団の告訴では、菅直人ほか政治家は含まれていません。念のため。


原発事故、東電幹部立件に高いハードル 「津波試算」どう判断

2013.5.6 11:22 
 東京電力福島第1原発事故をめぐる捜査で、検察当局が東電幹部らの立件見送りも視野に捜査を進めていることが5日、明らかになった。当事者の過失 の有無を判断する際の最大の焦点は、東電が原発事故前に「15・7メートル」の津波が到来する可能性を試算しながら、対策を講じなかったことだ。告訴・告発者側は「大津波を予見していたのに放置した」と指摘するが、検察内部では「あくまで試算にすぎず、それで事故を予見していたと認定できるかは別問題だ」 (幹部)との見方が根強い。




■対策講ぜず
 原発事故後に東電が社内に設置した事故調査委員会(東電事故調)によると、海面から高さ約10メートル地点にあった福島第1原発1~4号機は東日本大震災で約13・1メートルの津波に襲われ、全交流電源を喪失。1、3号機で水素爆発が起きた。
  従来、東電は津波に対する原発の安全度を測る基準として、大学教授らで組織される土木学会が策定した「原子力発電所の津波評価技術」を採用し、想定される 津波の高さを「最大6・1メートル」と設定。高さ10メートル地点にある福島第1原発は「安全は確保されている」と判断してきた。
 だが、 国の地震調査研究推進本部(推本)は平成14年、「三陸沖から房総沖にかけてマグニチュード8・2前後の地震が発生する可能性がある」との知見を公表しており、東電内部では20年に「福島沖で同規模の地震が発生した場合、福島第1原発に15・7メートルの津波が到来する」との試算を得ていた。
  それにもかかわらず、具体的な対策は講じられていなかった。告訴・告発の多くはこの点に着目し、「大津波を予見しながら対策を怠った」と主張。業務上過失致死傷などの罪が、勝俣恒久前会長(73)ら東電旧経営陣▽菅直人元首相(66)や海江田万里元経済産業相(64)=現民主党代表=ら当時の政権首脳▽原子力安全委員会(廃止)の班目春樹元委員長(64)ら原子力行政担当者-に成立すると主張している。

■慎重に捜査
 対策をとらなかった理由として、東電幹部は東電事故調の聞き取り調査などに、(1)試算の参考となったデータに不正確な要素が多い(2)福島沖で過去に巨大地震が発生した例はなかった(3)完全に試算を無視したわけではなく津波対応について土木学会に検討を依頼していた -と主張している。
 推本の知見の策定に関与し、検察当局から事情聴取を受けたある地震学者は、「推本の知見については研究者でも意見が分かれた。結果論として東電は津波対策を講じるべきだったが、その場合、膨大な費用がかかる。手を打たなかった東電幹部らを責められない」と、幹部側の主張を後押しする。
 検察当局はこうした経緯も踏まえた上で捜査を展開。検事が防護服を着用して原発に入り、内部の破損状況を確認したほか、テ レビ会議を記録したデータを押収して指揮系統についても調べたが、津波の予見・回避は不可能に近かったとして起訴は困難との見方を強めているもようだ。
 これに対し、告訴・告発者側は今年2月、東電本店への家宅捜索を求める上申書を提出し、社内の議事録の押収など強制力を伴った捜査を要請した。
 ある検察幹部は「立証へのハードルは高い。不起訴にしても検察審査会に申し立てられる可能性は高く、審査員を納得させるため捜査を尽くさなくてはならない」と言及。慎重に捜査を進めている。

http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/130506/trl13050611230000-n1.htm

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