2012年12月30日日曜日

【報道】原発事故立件の可否、来年3月にも判断 検察当局

【追記】朝日新聞以外でも報道が出ていましたので以下にリンクしました。

毎日新聞:福島第1原発事故 津波「過小想定」に着目 検察、研究者を任意聴取

産経新聞:政権交代、原発事故捜査に影響か

産経新聞:原発事故 100人超聴取へ 東電旧経営陣・斑目氏ら 検察 来春立件判断



朝日新聞デジタル記事2012年12月30日10時02分
原発事故立件の可否、来年3月にも判断 検察当局

 東京電力福島第一原発事故をめぐり、業務上過失致死傷などの容疑で告訴・告発を受けた検察当局が、東電幹部や政府関係者らの捜査を進めている。自然災害を発端とした事故で、捜査に乗り出すのは異例だ。津波による全電源喪失という事態を予測できたかなど立証が困難視される中、早ければ来年3月にも刑事立件の可否を判断するとみられる。
 告訴・告発したのは、福島県内で被曝(ひばく)した住民を中心に1万人を超えており、捜査への期待は大きい。事前の安全対策を怠ったほか、発生後に避難に関する情報を適切に公表しなかったことで重大な被害を招いたなどと訴えている。

 検察当局は政府、国会、民間、東電の各事故調査委員会による報告書が出そろった後、今年8月に告訴・告発を受理。東京、福島両地検に応援の検事らを集めて態勢を整えた。「世論をいつも以上に意識せざるを得ない」と現場に近い検事の一人は言うが、「告訴・告発が多いからといって、罪に問えることにならない」と語る幹部もいる。
 捜査班はまず東電から、震災発生後の社内のやりとりを収めたテレビ会議の録画映像など資料の提出を受けた。事故前の安全対策や事故後の対応について、10月以降、告発された東電幹部や政府関係者らを含め、関係者の事情聴取を続けている。
 検事らは防護服を身に着け、内部の構造を実際に見て確認。放射線量が高い場所には入っていないが、専門家から事故当時の状況などについて説明を受けた。

■予見可能性、立証に難しさ
 ただ、刑事責任を問うのは難しいというのが、今のところ検察内部の共通した見方だ。告訴・告発容疑の多くは業務上過失致死傷で、(1)被害は原発事故によるものと断定できるか(2)事故を予見し、適切に対応すれば結果を防げたか(3)複合的な要因があるのに、個人に責任を負わせるべきか――などが焦点となる。
 なかでも「津波によって全電源が喪失し、原子炉が冷却できず、放射性物質が飛散した」という事態を予見できたと立証できるかが重要になる。検察幹部の一人は「『過失』がなければ事件として成立しない。想定外のことで刑事責任は問えない」と慎重な姿勢だ。
 政府事故調査委員会の報告書によると、2002年に土木学会がまとめた指針を受けて、東電は福島第一原発での津波の想定を5.7メートルに引き上げた。その後、東北沿岸の巨大地震・津波を予想する研究成果などが公表され、東電は08年に15.7メートルの津波を試算。対策が検討されたが、「実際は起きないだろう」として具体化しなかった。
 他方で、福島第二原発の非常電源はより高い位置に移設されていたほか、原子炉建屋内に設置していた原発も国内にあった。捜査班は、東電がどの程度の津波を想定して対策に反映させていたか、旧経済産業省原子力安全・保安院のチェックは適切だったかなどを中心に調べている。「捜査を通じ、国の原発施策そのものを問うことにもなる」と検察幹部の一人は話す。

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